資金ショートでも、融資してもらえる会社になる方法。

正しい銀行訪問で資金ショートを防ぎ、強い会社を作ることができます。

資金ショートは、ある日突然発生し、どの会社にも起こりうると思われています。本当にそうでしょうか?

1、資金ショートが分かったら、力になってくれる地元金融機関に融資の依頼に行く。

中小企業の味方は、地元の金融機関です。業績が好調な時にこそ、支店長とのパイプを作っておくのが大事です。

融資は、銀行の担当者が書いた稟議書で決まります。その時に、情報や書類は担当者に渡すのではありません。

力のない担当者が書いた稟議書は、上司の融資(貸付)担当役席が何度もやり直しを命じます。繰り返しやり直しを命じているうちに、時間切れとなって融資がおりない状態が発生するからです。

このような事態にならないようにすることが大事です。方法は、情報や書類は直接融資(貸付)担当役席に全て持っていくのです。この時に、日頃のパイプ作りによる人脈が力を発揮します。

融資(貸付)担当役席に情報や書類を渡すとどうなるか?

そうです。力のない担当者が書いた稟議書でも、やり直しを繰り返すうちに、情報や書類を持っている融資(貸付)担当役席の指示によって、融資(貸付)担当役席が書いたものと同じレベルになるのです。

こうなれば、融資もしてもらえます。

2、忍び寄る黒字倒産の足音

売上が減少して赤字になっても、借金が多くなっても、経営は続けることができます。

一方、資金がショートしてお金が一瞬でも底をついてしまったら、次の日から営業を続けることができなくなってしまうのです。これが「黒字倒産」です。

たとえ、売上が順調であるにもかかわらずです。

ここで、1つ知っておいていただきたいことがあります。

資金ショートして、資金繰りに悩んだ多くの経営者は、このように思います。「自己破産して楽になろう・・・。」しかし、自己破産すると、資産や信用や人間関係、さらにはマイホームまでも失ってしまう可能性があるのです。

大事なのは、自己破産せずに、事業を継続する資金繰りの方法を知ることです。

3、ポイントは、資金ショート発生のメカニズムを知ることです。

現金が入るのはいつ?現金が出ていくのはいつ?

ここで、少しカンタンな計算をしてみましょう。

もしも、3万円の商品が500個売れたら、売上は、

3万円×500個=1500万円

です。

すぐに入金があるわけではありません。計算上は、1500万円の売上があるはずですが、実際には、そのお金の入金は来月です。

一方で、その商品の仕入れが1つ1万円だとすると、

1万円×500個=500万円

の支払いが必要です。 その上、500万円は今月支払わないといけないお金です。

今月、500万円支払があるのに、入金は来月です。ここで、お金が足りない状況が発生しています。

では、どうすればいいのでしょうか?

次のような対策が考えられますね。

・支払いを遅らせてもらう。
・入金を早めてもらう。
・お金を借りる。
・他の手段で現金収入を得る。

このように、資金ショートしないように「いつ?」を気にかけながら経営していくのが、資金繰りのポイントになります。

「勘定合って銭足らず」という言葉があるくらいです。計算上はお金があるはずなのに、金庫や通帳にはお金が残っていない。ということもありえるのです。

いくら「来月には、1500万円入ってきますから。」と言っても、今現在、手元に現金がない限り、不渡りや銀行取引停止といった最悪の状態が待っています。

このように、黒字倒産の大きな原因は、入金と出金の日に開きがあることです。入金と出金の日の開きを、タイムラグと言います。

資金ショートの怖いところは、いざその時になると慌ててしまうことです。そのため、どんどんと悪い道を選んでしまい、事態は悪化していく一方なのです。

この時、頭の中はパニック状態になって、正常な判断ができなくなっているからです。

4、資金ショート回避のための事前対策には3つです。

4―1、資金繰り表の作成と在庫管理

まずは、事業計画書を実現可能性の高いものにすることが大事です。資金ショートする原因は様々ですが、意外と多いのが、計画がいい加減なばあいです。

最初に、事業計画書を作った時点から見直しが必要なこともよくあります。金融機関から融資を受けるために、とりあえず作ったという考え方では、資金ショートするのは仕方がないとも言えます。

実現可能性の高い事業計画書を作るためのポイントは3つです。

・事業の要点を、20秒で分かりやすく説明できる。
・計画から実行まで、無理なく考えられている。
・事実に基いていて、実績がある。

そして、資金ショート回避のために、経営者の方に是非とも取り組んでいただきたいのが「資金繰り表」の作成です。事業計画書と資金繰り表によって、将来の資金予測をより細かく知っておくことで、黒字倒産の大半は防ぐことができます。

もう一つは、在庫管理です。

売上は多いのに現金がない場合は、在庫が過剰になっている可能性があります。過剰な在庫は、黒字倒産の原因です。在庫管理での有効な手段は、棚卸しを計画的に行うことです。

4―2、徹底的なコスト削減

今の立地は、本当にその場所でいいのですか?意識の高い経営者は、立地についてもよく考えています。

確かに、人通りが多い一等地に事務所や店舗を構えれば、マーケティングには有利になります。

そこで、考えないといけないポイントは、高い家賃や人件費そして仕入れコストです。

立地のいい場所に店を出し、予想通りたくさんのお客さんで繁盛しても、売上げのほとんどを家賃や人件費などに使ってしまっては、利益が残りません。

人件費の見直しも大切です。

コストの削減として、人件費を見直す方法もあります。その時はまず、役員報酬を見直しましょう。他には、就業規則を見直した上で、交通費の手当などの各種手当も見直しを行うことができるのです。

4―3、貸し倒れ対策

自社の事業が健全でも、貸付金や売掛金が回収できずに、損失になる場合もあります。これが貸し倒れです。このような貸し倒れの状態になると、資金ショートしてしまいます。

対策としては、取引先に延滞があった場合には、きちんと請求するなどの手段を講じることが大事です。

この時に注意するべきは、債権の回収は早い者勝ちだということです。債権回収の見込みが低いのであれば、他の債権者よりも先に交渉する素早さが必要なのです。

それでも貸し倒れが発生した場合、その事業年度において貸し倒れとして、損金の額に算入します。

5、資金ショートに即効性のある対策は、3つです。

ここでは、資金ショートが間近に迫っている時の対策をご紹介します。

5―1、銀行にリスケの申し込みをする。

支払いを遅らせるために銀行と交渉する「リスケ」があります。「リスケ」とは「リスケジュール」のことで、返済期限の引き延ばしや毎月の支払いを減額するという方法です。

例えば、毎月100万円を返済していたものを、1年間は50万円に減額してもらいます。

すると、月々の50万円×12ケ月分=600万円が浮いてきます。この600万円で、会社は可能な限りの経営改善を目指すという方法です。

リスケ申込書、経営改善計画書、資金繰り予測表などの資料を用意して銀行の担当者と交渉し、無事に交渉が成立すればリスケが利用できます。

一般にリスケの成功率は約30%といわれています。しかし、その確率を70%以上にまでアップさせる方法が、ないわけではありません。

では、リスケを成功させるためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?大事なのは、銀行員の本音を知ることです。

銀行員に対して、人情で自社の苦しい状況を訴えたり、社会貢献をしていることを強調したとしても、それは銀行員にとっては二の次なのです。

それでは、銀行員が一番気にしていることは何でしょうか?

それは、「貸したお金が、計画通りに返済されるか?」です。

つまり、「会社がつぶれて、融資した全額が貸倒れるよりは、ある程度期間が延びても、1円でも多く回収したい。」というのが、銀行員の本音なのです。

「リスケ」の成功率を50%アップさせる方法

そこで、銀行員を説得するには、リスケが必要になった原因とその対策を説明し、借りたお金を確実に返済する計画を立てることです。

そのために、

・返済が困難になった原因の説明(設備投資の失敗、収益悪化、売上金の焦げ付きなど)

・返済再開の対策(コストダウン計画、収益アップの見通し)

・返済の見通し(各対策に応じた返済見通しのシミュレーション)

を、具体的で客観的な数字として示すことが大事なのです。

5―2、支払いを遅らせる。(給与、税金、社会保険など)

仕入れの支払いの他にも、税金や社会保険料など支払科目は多数あります。

では、質問です。

資金ショートしそうな時、どの支払いを優先するのが正しいでしょうか?

税金や社会保険料は、優先的に支払わなければと考えていませんか?実は、資金ショートしそうな時の支払い順位は、以下が正解です。

1番は、手形・小切手
2番は、人件費
3番は、仕入・外注費
4番は、家賃
5番は、銀行借入
6番は、社会保険料
7番は、税金

税金や社会保険料は、支払順位が下位なのです。

1番の手形・小切手は不渡りを出すと、銀行からの大きな信用低下につながりますので、絶対に避けましょう。

2番の人件費は、従業員の生活を守る上で確保するのは経営者の責任です。

5番の銀行借入では、先に書いた「リスケ」の方法で支払いを待ってもらうことも可能です。

6番と7番の社会保険料と税金も、将来的には必ず支払うという前提の元で、一時的に遅らせる交渉ができます。とは言え、高率の延滞税が追加されたり、会社の不動産や買掛金や預金などを、差し押さえられる可能性がありますので、注意が必要です。

他にも、支払いサイトの延長も非常に有効な方法です。支払いサイトの延長とは、例えば、「月末締めの翌月払い」を「月末締めの翌々月払い」にしてもらうことです。

これができれば、30日分の余裕ができて、精神的にも楽になります。

支払いサイトの延長と関連して、入金を早めてもらう方法も有効です。具体的には、取引先に交渉して、30日後の入金を1週間後に早めてもらうなどです。

5―3、資産を現金化する。

・定期預金を取り崩す

せっかく積立ててきた定期預金を解約したくない場合は、その定期預金を担保にして融資を受けるという方法もあります。

・手形割引の利用

もし期日までまだ期間がある手形をもっていたら、それを期日前に現金化することもできます。手形割引といいます。受け取れる金額は減りますが、今すぐ現金が必要な場合には有効な方法です。

・不動産担保ローン

土地や建設物などの不動産を担保にしてお金を借りるのが不動産担保ローンです。返済できないときに不動産を失うリスクが大きい一方、低金利で巨額のお金を借りることができます。

・在庫担保融資

動産(在庫・原材料機械設備)を担保にして、銀行などからの融資を受けてつなぎ資金にする方法が、在庫担保融資です。具体的には、あなたの会社の倉庫に製品やその原材料、食品、生花、お酒などなんらかの動産があれば、それを担保にして現金が手に入るという仕組みです。

・遊休資産の売却

業績が好調だったときに、福利厚生目的で購入した土地や建物及び会員権などは、現金化できる上に、固定資産や管理費の節減にもなって一石二鳥です。

・生命保険の見直し

積立て式の生命保険に加入している場合は、解約して掛け捨て式の生命保険に加入すると、手元に解約返戻金が入り、保険金の節約につながる場合があります。また、解約せずに解約返戻金の70%くらいで借り入れする裏技もあります。

・経営者自身のお金を会社に入れる

経営者が会社にお金を貸したり、給料を未払いにしたり、または、経営者やその家族が株主となって会社の増資を行うことも考えられます。

6、最後に、もう一度繰り返します。黒字の会社でも、資金ショートすることがあります。大事なのは、業績が好調な時にこそ、地元の地域密着型金融機関とのパイプを作っておくことです。なぜなら、いざという時に、必ず力になってくれるからです。

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